ペコちゃん誕生65周年。まったく表情を変えてこなかったのに、飽きられない理由を考える という興味深い記事を読みました。ジャポニカ学習帳雪肌精にブランド周年ネタがシリーズ化できそうです。

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これによると、「ペコちゃん展」というペコちゃんの歴史を振り返るイベントが神奈川県・平塚市美術館で行われているらしい。数々の店頭人形、グッズにコラボアートとペコちゃんだらけのようです。
 

最初はなんとも言えない印象を持ちましたが、この記事を見ていたら今や行く気満々です。何かが掴めそうかも。

わたしに響いたポイントをダイジェストでお伝えします。


65年周年だけど「永遠の6歳」

不二家のキャラクター・ペコちゃんが誕生して今年で65年になる。6歳のペコちゃんがもしもそのまま年を重ねていれば、もう年金暮らしに突入している計算になるが、彼女は夢の国からやってきた「永遠の6歳」なのだ。6歳の女の子が不二家の店頭で見つめてきたのは、戦渦から立ち上がっていく日本の戦後史そのものである。ペコちゃんに、相方のポコちゃんや仲間の犬がいることは知っていたが、ポコちゃんが友達ではなく1歳年上のボーイフレンドであることや、時たま連れ添っている犬の名前が「Dog」という名前だったことを、『ペコちゃん展』に出向いて初めて知った。

8月15日が日本終戦記念日、さらに今年は70周年ということでお盆中はこの話題で持ち切りでしたね。65年というと終戦5年後の話です。そんな長きに亘り日本に存在し続けていたのかという事実自体に驚愕したのは以上に、当時に「永遠の6歳」というクリエイティブな発想を持たれていた「不二家」の創業者?のアイデアに脱帽です。

ペコちゃんはただの舌出しキャラではない、日本の戦後史を知る希有な存在だと知りました。

 

出来ることならば、わたしのおじいさん、おばあさんと一緒に行きたかったですね。色んなインスピレーションが生まれそうです。

 
 

記憶に刻み込まれている「ミルキーはママの味」

ペコちゃんといえばミルキーだが、ミルキーができたのは、実はペコちゃんが誕生した翌年の1951年である。様々なミルキーのパッケージが展示されているが、やはり、当初から使われていた「ミルキーはママの味」というキャッチコピーの強さが光る。

商品のブランド力を決定づけたキャッチコピーは多々あるが、日々の暮らしに必須なんだと端的に訴求してくるコピーはやっぱり強い。「お口の恋人ロッテ」「やめられない、とまらない!(かっぱえびせん)」「バファリンの半分はやさしさで出来ています」などなど挙げればきりがないが、なかでも、練乳をまぜこんだ飴玉を「ママの味」と言わせたこのコピーは、非の打ちどころがないストレートさだ。

わたしも仕事柄この「キャッチコピー」というものには良く触れるし、業務になるケースも少なくありません。個人的に好んでいるのはここにも挙がっている「お口の恋人ロッテ」。短すぎず長すぎず、それでいて身近さを「恋人」という形で感じさせてくれる超高品質なコピー。考えた人本当に天才です。
 

「ミルキーはママの味」もロッテに匹敵する力があるということをこの記事から再認識することができました。純粋想起ではありませんが、助成想起は確実にされます。
 

「練乳をまぜこんだ飴玉」≒ 誰しもが赤ちゃんの時に体験している「母乳」=「ママの味」


この定義付けです。「ママの味」と言われて食べてみても全然違和感ないですもん。むしろしっくりくるくらい。これを考えついた方も名コピーライターですね。


日々の暮らしに必須であると訴求してくるキャッチコピーの強さを改めて感じました。


 

65年間、ひとつの表情を維持してきた不退転の覚悟を持つキャラクター


ペコちゃん・ポコちゃん人形は、1998年に登録立体商標第一号として特許庁より認定を受けている。これまでも、園児服を着たり、西陣着物を着たりしてきたが、どんなに派手な恰好をしようとも、ふくれた頬、ぱっちり過ぎる目、赤いリボン、ぺろりと出した舌のインパクトはぐらつかない。思えば、「ご当地キティ」の大ヒットって、キティ自体に表情がないこととも関係しているのではないか。おびただしい量のペコちゃんを見て、ふと気付いた。 ペコちゃんにはキティのような汎用性はない。それは、キャラクターを決定づける情報が顔面のあちこちに詰まっているからだ。つまり、余白がない。それでいて不思議なのは、ペコちゃんというキャラクターは、過剰な存在感を放たない。あくまでも街角で佇んでいるのが似合う。65年間、ひとつの表情を維持してきたペコちゃん、目立ちすぎない存在感でブランドを維持してきたことを新たに実感する展示だった。

ここから、65年という月日を何一つ表情を変えずに生き抜いて来たという事実を知りました。企業経営を左右する2007年には食品表示偽装で「不二家事件」という問題があったにもかかわらず、何一つ表情を変えずにきたということになります。
 

ブランドやキャラクターを管理する場合、生活者の生活様式や消費購買行動の変化に合わせてコミュニケーションをマイナーチェンジをしていくべきという見方がありますが、

そういう切り口で考えると、ペコちゃんは時代の移り変わり・生活者の変容に流されず、ずっと同じ「表情」 を貫いてきていることになります。

しかし、今でも街角に佇む可愛い人形というポジションには君臨している。


キティやポケモンのように周りに合わせることが行く抜く術になっているキャラクターがある一方で、「一貫して変えない」そんな不退転の覚悟を持ったブランド・キャラクターが今も存在していることを記憶しておくべきと思いました。
しかもそれが65年という半世紀以上ということも。ペコちゃんにヒントが詰まっている気がします。


時間が限られていますが、行っておくべきですねこれ。
 

過去と今を知り、未来を創る。わたしたちがやるべきことはハッキリしています。

 

ペコちゃん展

2015年7月11日(土)~9月13日(日)

会場:神奈川県 平塚市美術館

時間:9:30~17:00(7月18日から8月30日は18:00まで開館、入場は閉館の30分前まで)

出展作家:戌井昭人、伊藤誠、内田望、金川博史、川井徳寛、木原千春、小林孝亘、佐々木成美、
玉川みほの、冨岡奈津江、西尾康之、町田久美、三沢厚彦、宮川慶子、山田啓貴、吉野英理香、渡部満

休館日:月曜
料金:一般800円 高大生500円
※ 中学生以下、毎週土曜の高校生、障害者手帳をお持ちの方とその付添者1名は無料

 

それでは。