「地球のしごと大學」の講座が地元埼玉県の飯能市で開かれるということで昨日受講してきました。テーマは前々から気になっていた「自伐林業」。講師は自伐林業でご活躍の中嶋健造さん。いやーついに埼玉県にもきましたか!!!


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中嶋さんの取り組み内容。

近年、日本の一般的な林業として展開されてきた「所有と施業を分離した」委託(山林所有者や地域)・請負(森林組合や業者)型の大規模集約施業とは一線を画し、山林所有者や地域が自ら森林経営・施業をおこなう、地域に根ざした自立自営の自伐林業を展開。
 これまでの取り組みにより、この自伐林業が、現行林業に比べ、地域の就業力や森林保全力に非常に優れ、地域に根ざした環境保全型林業であることを証明した。自伐林業は現行林業の問題点をカバーして余りあることもわかり始め、全国で注目され始めている。
 自伐林業に、木質バイオマス+地域通貨を加えたシステムを開発し、日本全国で展開している。このシステムは、一気に地域林業家を育てる事例を急増させることができ、さらに中山間地域へのIUターン者(若者)が対応する事例も急増してきた。これは中山間地域へ人口還流を起こす可能性が出てきたといえる。
 また本来林業には季節性があるため、自伐林業家は森林の多目的利用、木材の6次産業化等を同時に実施し、森業的な副業をおこなう特徴を有する。ここ数年、この「自伐林業を核にした百業スタイル」ともいえる、中山間地域の生業スタイルの開発もおこなってきた。これまで打つ手がなかった中山間地域の8~9割を占める森林の有効活用策として、自伐林業、および自伐林業を核にした百業スタイルが注目され始めている。

募集開始から間も無く申込みをしたので良かったのですが、なんとまあ一瞬にして、定員90名が埋まるという人気ぶり。直ぐに申し込んでおいて良かったです。実際当日のキャンセル待ち狙いで会場に20名近くのおじさん達がいらしていました。受講前からそのポテンシャルをひしひしと感じていました。

中嶋さんは、開口一番に「今の林業は終わっている」と放つと、自伐型林業の内容、そして可能性と実例を余す事無く教えてくれました。

 講義をダイジェストするとこんな感じです。

 

・自伐林業はその名のとおり「森林経営・管理・施業を自ら行う林業」

・この林業を展開すれば終業50万人、いや上手くいけば100万人の雇用を生み出せる。

 →まじすか?と思いましたがこれはマジで実現しそう。


・現在の多くは森林組合任せで管理を完全にアウトソーシングしている。

→こうなってしまった歴史も教えてくれました。もちろん海外からの安価な木材輸入の背景もありつつ、組合の動きや現行の制度(間伐への補助金)が産業をシュリンクさせた部分がかなりのウエイトのようです。

農業では、農地を持っている人が自分で農作物を生産する。企業でも、製品は自分で作る。漁業も同じ自分で水揚げして売りますよね。二次産業だって自動車を作って売っている。これは当たり前の話です。でも、これが林業だとなぜか全部人任せになっているんです。

なんか、森林経営を企業経営と勘違いしてしまっているのが今の林業ということです。株主が森林の持ち主で、企業が会社を経営するように、森林を組合が経営しているのが今のスタイル。これがダメだということです。


・森林組合は森づくりが下手。ド素人。森をダメにしてしまう。大規模集約施業には問題点山積み。

【様々な問題点】

 ・皆伐後の再造林で採算が合わない(=持続的林業ができない)。

 ・大きな作業道は皆伐や間伐は土砂災害を頻繁に引き起こすタネになり、環境破壊を誘発する。

 ・大量流通の場合、合板・集成材のB材が中心となり原木の価格低下を招く。

 ・高性能林業機械を使う超高コストワーク。イニシャルにかかる機械もそうだが、動かすために必要な人件費も  かなり大きいらしい。(高投資、高コスト)等

 

・一方、自伐型林業は現存する問題点を解消し好循環な山づくりが出来る。

【ポイント】

 ・所有と施業を極力近づけた品質重視。

 ・限られた森林の持続的管理とその森林を離れず、その森林から毎年収入を得ていく。

 ・木の生長を利用した長期にわたる林業。

 ・狩猟型ではなく山を固定する農耕型、過去の作業が資産となる。
 ・固定するから施業技術が向上する。年月が経つ程生産効率が向上する。

 ・小規模機械で低コスト、作業もシンプル安全性も向上。

 ・収入アップのためには、大きく二つあって「材質の向上」「森の多目的活用」つまり、収入アップをさせたいモチベーションが良好な山づくりに繋がるという超好循環型。

 ・研修を受ければすぐにでも参入できる。

 

・森林経営がうまく行っているドイツも小規模林業に政策的に移行し大きな雇用を生んでいる。

→日本の林業人口が4万人に対して、ドイツは100万人もいるそうです!びっくり!

 

・地方創生の切り札が自伐である。

→雇用創出力は大規模集約型林業の約10倍という試算。自伐林業は100haで専業自伐林家であれば2〜3人の雇用。副業もでるであればもっと雇用が生まれると言っていました。逆に大規模集約型では高性能機械を使うため、ざっと2,000haで4人の雇用という計算ができるという。(ここの具体的な計算は忘れました汗)結果だけみても、自伐型ならば、2,000haあれば、40人〜50人の雇用が生まれる計算になるようです。これを聞いてマジでビックリしました!地方に仕事が無いとか嘘!めっちゃつくれるじゃん。

自伐林業家が多いドイツもこのような状態らしいです。これなら納得。間違いなく地方創生の切り札ですね。

 

しかも個人的に魅力的だったのは、「自伐型林業」をやりながら多角化するポテンシャルがあるということ。専業もそうですが、副業、兼業など様々なスタイルで実現が可能という点です。

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本当に可能性を感じるし、自分が創りたい社会像に進める気がしています。自伐型林業をリアルなメディアとして育てて、「アウトドア」「ペット」「住まい」「災害対策」「ものづくり」といった好きなテーマをリンクさせたプラットフォームを創る・・・的な。イメージでは創れそう。

 

ただ、この自伐型林業をスタートさせるには山を小さくても確保することと、作業道を作る技術を得ないといけませんので、先ずは2016年2月から自動ドア技術学院で始まる「自伐林業家養成学部」へ入学申請をして自ら自伐の環境へと飛び込んで行きたいと思います。飯能には銘木に値する「西川材」が多く取れるとか。収益の多様化へのアプローチ。バシバシいきます。好きな自然の中で仕事ができるこれほど幸せなことはありませんね。

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その後の懇親会では地球のしごと大學の代表(株式会社アースカラー)高浜さんともお話することが出来ました。自伐に限定せず地球のしごと大學さんとは接点を作って行きたいなと思っています。





それでは。