昨日、地球のしごと大學のフィールド講義で、川崎市にある「日本民家園」に行ってきました。
日本民家園は小田急線 向ヶ丘遊園から徒歩15分歩いたところにあり、生田緑地も近く自然豊かな立地です。
■講座内容
住まいは、気候風土、自然とのやりとりによって成立してきました。
本来、自然との共生を図るための空間が家屋です。 気候風土との関わり、自然との応答の中で培われた技術と知恵によって造られ、その土地でとれる材料、地域の資源や技術を使う「地産地消」が基本で、それが地域ごとに特色ある風景を生み出してきました。日本の伝統的な住まいづくりには、驚くべき技術と知恵が詰まっています。
しかし、現代では、産業としての住まいづくりが先行し、廃棄物やシックハウス、海外の森林破壊などの問題が起きています。 これからは、環境に負荷をかけない家、日本の森林を活かす家、日本の伝統技術を継承する家、セルフビルドによって手間をかける家、パッシブ技術や再生可能エネルギーなどを利用した自立する家、地域の信頼関係や地域経済への寄与などに配慮した家など、目指す必要があります。
住まいの変化が私たちの社会にもたらす影響、これからの住環境のあり方、伝統的日本家屋の可能性などを日本民家園の視察をしながら、考え、議論します。
■講師
山田貴宏氏/一級建築士事務所 ビオフォルム環境デザイン室 代表
1966年生まれ、千葉県佐倉市出身。 早稲田大学建築学科都市環境工学専攻修了。 清水建設株式会社、一級建築士事務所 長谷川敬アトリエに勤めたのち、2005年に一級建築士事務所 ビオフォルム環境デザイン室を設立。
主に国産材と自然素材を活用し、地産地消でかつ伝統的な木の家造りを中心とした建築/環境設計を行う。パーマカルチャーのデザイン手法・哲学を背景とした住環境づくりをめざす。建物とそれを取り巻く自然まで含めた幅広い環境と場づくりがテーマ。
学び得た内容をまとめておきたく、移動中にツイートしてます。
昔は地域ごとの気候風土、もっと細部の微気象、そして生業という環境の一部に「住居」が組み込まれていた。古民家に残る土間や大きな下屋、日差し、縁側などの機能が分かりやすい例。シームレスに繋がりそこに必然性があったため共同体(コミュニティ)が当然のように形成されていた。
— TanaShin (@Shingo_tna) 2016年4月25日
それがいつしか「手間をかけず安く早くオシャレに建築」といった西洋の文化が流入し、元来の日本的な居住環境の多くは姿を消した。この西洋的な建築のことを専門家は「閉じた住居」「壁型住居」と呼び、名前の通り外の世界との関係を断つシェルター的な意味合いが強い建築です。
— TanaShin (@Shingo_tna) 2016年4月25日
これはこれで西洋の過酷な環境で生命を守り暮らし営むために人類が開発した素晴らしい知恵。けれど、成長を疑問視し始めた日本国に、まだこの流れを汲む必要があるのかどうかということが問われ始めている。コミュニテイ形成の観点からもそう。
— TanaShin (@Shingo_tna) 2016年4月25日
しかし、エ藁葺き、茅葺き屋根の開いた家屋がいくら日本の気候風土に則した居住空間とはいえ、エアコンも無いしガスも無いため現代人にまんまフィットすることはほぼ無いでしょう。試住はあれど定住は困難。
— TanaShin (@Shingo_tna) 2016年4月25日
ですが、古民家が有する機能は間違いなく現代の暮らしに必要視されてきているし、望みも増えている。大事ことは「古民家の暮らしぶりを学びそこで得たヒントをどのように現代の暮らしに取り込みアレンジするか」という思考。
— TanaShin (@Shingo_tna) 2016年4月25日
昨日の山田氏の講座ではこの文脈における現代建築の事例を幾つかご紹介いただいた。足立区のエコアパート、神奈川県藤野にあるコーポラティブ方式で建築したコレクティブハウジング、一度はこの目で見ておきたい事例ばかりで終始目から鱗でした。
— TanaShin (@Shingo_tna) 2016年4月25日
それに山田氏が並行して取り組んでいる「パーマカルチャー」という分野にも更に惹かれるようになった。建築とパーマカルチャーのコラボレーションはとても興味深い。「建築というハードを通してどのように昔あった様々な関係性を取り戻すか」こうしたテーマを日々研究し実践へ移している。
— TanaShin (@Shingo_tna) 2016年4月25日
足立区にあるエコアパート。残念ながら5/9で区画整理事業で無くなってしまうんだとか。家賃10万程度で庭がつきリサイクル可能な建材(新建材ではない)をふんだんに用いた建築。G.W中に是非とも見たい作品。 pic.twitter.com/EcNcrVGw9u
— TanaShin (@Shingo_tna) 2016年4月25日
里山長屋@藤野 山田氏も住まう住居で、全体は日本らしい長屋スタイル。 pic.twitter.com/Hkbru4ut8C
— TanaShin (@Shingo_tna) 2016年4月25日
全5物件を土間や縁側でシームレスなコミュニティハウスにしているんだとか。一番手前の物件はコモンハウスと名付けられ誰もが使える共有部。コーポラティブ式で、オーナーそれぞれが費用負担し完成した作品。#建築 #里山 #長屋
— TanaShin (@Shingo_tna) 2016年4月25日
事実の把握
— TanaShin (@Shingo_tna) 2016年4月25日
・全世界70億人の半分が「土の家」で暮らす。
・日本の世帯数は約5700万世帯。それに対して約6700万戸の住居がある。故に800万戸の空き家が存在している。
温故知新
— TanaShin (@Shingo_tna) 2016年4月25日
昔の事をたずね求めて、そこから新しい知識・見解を導くこと。
現代建築にもこの視点は欠かせない。
このように「建築」のベクトルも「自然や風土との一体性・関係性」に向いています。
消費しない建築を考え、自分も何かできないか考えるキッカケをいただきました。
偶然か分からないけど、高校生大学生の時に興味を持ち、志した「建築、木材」という分野に、全く違った仕事を6年続けていたにも関わらず辿りついているのがすごく面白い。
こうなる運命だったのかなー。って最近よく思うんです。
参考書籍です。興味があらば是非。
こちらからは以上です。