TanaShin(たなしん)です。

7月末より東京都江東区青梅で開催されているHOUSEVISON(ハウスビジョン)2016 TOKYO EXHIBITIONに行ってきました。開催前から注目視していたイベントだったので展示期間終了前に行けてよかったです。(〜8/28まで)

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"原寸大に具現化された12の近未来"

HOUSEVISIONは企業と建築家/クリエイターとの協同によって、家のあり方を考えながら未来を具現化してみる試みです。 確認申請を経て会場に実現された建築は、絵空事ではないリアリティを帯び、明日にでも利用可能な未来として説得力を持っています。

本展には12棟の展示ハウスが並びました。 経済の停滞、人口の縮退、少子高齢化、災害の続発、コミュニケーションストレスの増大など、多くの危機を迎える日本ですが、ここに並んだ提案は、そういう時代を生き抜いていくための具体的な処方箋と読み替えることもできます。

1:冷蔵庫が外から開く家

2:吉野杉の家

3:の家

4:棚田オフィス

5:遊動の家

6:賃貸空間タワー

7:凝縮と開放の家

8:市松の水辺

9:木目の家

10:内と外の間/家具と部屋の間

11:グランド・サード・リビング

12:電波の屋根を持つ家
今日はイベントレポートも兼ねて感じたことを話します。

暮らしの多様性に対する提案の数々

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「1:冷蔵庫が外から開く家」外から届くものの入り口であり、中から発送するものの出口として、内側と外側、どちらからでもアプローチができるという内容。 もう一つのドアを介して直接人と人とが物品を受け渡す物流の新たな仕組み。

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「2:吉野杉の家」ミュニティ主導型のホスピタリティー企業として世界をリードするAirbnbと建築家 長谷川豪氏が作ったプラン。ホストとゲストを新しい視点で融合させる提案。 散歩途中のお年寄りが縁側に腰をかけて一服。家事を終えたお母さんたちも子供を連れてカフェに集まります。 カフェでチェックインしたゲストは自然に吉野町の人たちと触れ合います。「吉野杉の家」では、地域全体がホストとして活躍し、宿泊者が吉野の未来に影響を与える。

*高円寺にOPENしたBnA HOTEL Kenjiもこれに近しいコンセプト。

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「4:棚田オフィス」日本のどこにでもある里山ですが、米作りに携わる人々は高齢化し、田植えや稲刈りには少し人手が欲しい。稲は日本の風土そのもの。日本人の文化の中に米が育まれたのではなく、稲の中に日本文化が産み落とされた。

田の管理は治水の知恵と美しい景観を生み出し、収穫を迎えたのちには余った藁は縄隣、正月飾りなどになっていく。そういう暮らしを絶やしてはいけないと日本人なら直感的に感じます。パソコン一台でどこでも仕事ができる人たちが、棚田の光景を見ながら仕事をする。そんな拠点が「棚田オフィス」

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AGFと長谷川豪氏のコラボレーションにより生まれた冷涼珈琲店


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「6:賃貸空間タワー」大東建託と藤本壮介氏の作品


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「8:市松の水辺」


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「12:電波の屋根を持つ家」


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会場全体設計・構成は国立競技場のデザインで有名な隈研吾氏が手がける。

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この会場に並んだ多くの提案は暮らしの多様性に対する新たな提案になっており、未だ見たことのない近未来を表していたように思います。 実際、来場者が感嘆の声を上げるシーンも多く見受けられました。 全体的に「木材」建築が多くおそらくこれも意図的なものと思われます。 リード文にあるとおり 「明日にでも利用可能なアイデア」の紹介は確かに豊富でした。

ただ、個人的には物足りなさを感じています。  

一流企業と一流クリエイターが企画した家のあり方を考えるプロジェクトなのに何故「モーターホーム」や「モバイルハウス」「仮設住宅」のような、続発する災害に対策した家のあり方がなかったのかという点です。

不足していたビジョンについて

これらの必要性は徐々にですが浸透していっているように思います。

地震被害に台風被害、「大規模災害の続発」は人口の問題以上に暮らし(家のあり方)に関わる大きな問題です。 なのに何故HOUSEVISIONにこのような提案がなかったのか不思議で仕方ありません。

日本最高峰のアイデアが集結した場所なのであればあって然るべきなのではと思ってしまったし、このビジョンも見てみたかったのが本心です。

・モーターホームの可能性
ホテルかよ!! キャンピングカーの進化版「モーターホーム」がすごすぎる。


・仮設住宅の可能性
従来の仮設住宅より快適?「小屋」の可能性


ぼくがこれらのコンセプトを重視するのは日本という国の暮らしだからです。
以前、キャンピングカーショー2016についての記事の中でも述べていますが、災害大国日本において「住居を固定する」というリスクは常に頭の中に入れておかなければいけません。

「ジャパンキャンピングカーショー2016」で感じたこと。


間違いなくこの手の家は必要とされ始めているのに、これに対しての提案がなかったのが非常に残念でした。唯一、自動車メーカーとして出展されていたトヨタの提案も凄く微妙だった(グランド・サード・リビング)。

モーターホームについてはこの辺ムック本がおすすめのようです。

最後に

クリエイターとのコラボレーションという企画には全面的に賛成です。 民間企業には創造できない世界を一流クリエイターは持っています。 アニメクリエイターとかSF小説家などとのコラボレーションも面白いと思うんだよなあ。

そのアイデアが現実的か否かはおいておいてエクストリーム(極端な)な人材が次の一手を作ると思うのです。 次の展示がいつになるのかわかりませんが今後の展開には期待をしていきたいです。

こちらから以上です!